調停には多くのメリットがあります。調停では、当事者は、自身で適切な調停人を選び、その調停人のサポートを受けて、紛争の解決を目指します。また、両当事者が未来志向の解決を目指し、将来の良好な関係に繋げます。さらに短期間で終了するため、費用も予測可能で、比較的安価となります。加えて、当事者が開示した全ての情報、主張、証拠の秘密が保持されます。
とりわけ、京都国際調停センターが目指す世界標準の国際調停においては、専門的訓練を受けた調停人が、厳格な守秘義務の下、評価型や対話促進型の手法を適切に使い分けて用いると、実に80%以上の案件で、たった1日か2日で合意に持ち込めると言われております。
訴訟や仲裁では、裁判官や仲裁人という第三者が、紛争について拘束力のある判断を行う最終的な権限を有します。一方、調停では、どのように紛争を解決するかを決める権限は当事者が有します。
訴訟や仲裁では、長期化することで費用が高額となり、またその総額も予測が難しくなります。一方、調停は、多くの場合、両当事者が出席する一回の調停期日だけで解決しますので長期化せず、費用も低額で予測しやすくなります。
訴訟や仲裁では、当事者は相手を打ち負かすために攻防を展開し、入念に主張を組み立て、膨大な証拠を整理して提出することに粉骨砕身することになります。一方、調停では、両当事者が、熟練した調停人のサポートによって、相互に効果的なコミュニケーションを図り、適切な解決策を探ろうとします。そのため、双方の関係を破壊することは少なく、将来的に良好な関係が維持できることもあります。
訴訟では、ほぼすべての議論や証拠が公記録となり、重要な機密情報も守ることは困難です。そのため、両当事者のビジネスや評判に深刻なダメージを与えかねません。
調停では、すべての情報、議論、証拠等は守秘されます(仲裁でも秘密は守られます)。
また、京都センターで実施される調停は、国際標準の調停であり、守秘義務が厳格に守られ、調停における当事者等の言動、意見等については、後の裁判や仲裁手続での利用が禁止されます。そのため、当事者は、後の裁判や仲裁手続などを意識した言動をする必要がなく、調停人に対し、安心して本音を語り、譲歩できるギリギリのラインを示すことができ、その結果、コンフリクトをやわらげて和解が成立しやすくなります。
調停手法は大まかに「評価型」と「促進型」に分類されますが、その違いは曖昧です。
「評価型調停」では、調停人は特定の争点について意見や見解を述べたり、和解案を提案したりするなど、紛争解決に積極的に介入をします。
「促進型調停」では、調停人は、当事者のコミュニケーションを促進して紛争解決の方法を探ります。調停人は、当事者の主張を評価したり、自身の意見を述べることを控えて、当事者自身による解決を支援します。
日本の裁判型調停では、多くの裁判官や調停委員は評価型調停を行っています。しかし、京都国際調停センターでは、評価型調停だけではなく、促進型調停も積極的に行うことになります。
「調停」は、日本文化に深く根ざしており、日本の中心である京都にも蓄積されてきました。したがって、京都が日本の調停の伝統的な文化の中心といっても過言ではありません。
京都国際調停センターは、国際標準の調停を実施する調停専門機関として、京都市内の同志社大学内に設置され、低額で同志社大学の設備を使うことができ、また京都の雰囲気の中で調停を進めることができます。また、高台寺という名刹で調停をすることも可能です。さらに、京都国際調停センターは、国際的に名の知れたアドバイザーや、世界中から著名な調停人を招聘し、国際的な弁護士、学者などの熟練スタッフを擁しています。このような点において、京都国際調停センターには多くの利点があると言えます。
京都国際調停センターは、同志社大学内に設置され、低価格で同志社大学の設備を利用することができます。また、京都国際調停センターは、日本の名刹である高台寺の協力を得て、高台寺境内で調停を行なうことができます。このように、世界的にも特徴ある調停機関といえます。
手続費用は他の国際調停機関に比べるとはるかに低額です。詳細は費用のページをご覧下さい。調停人費用は、誰を調停人に選ぶかにより変わります。
一般的なケースでは、準備期間に加えて、両当事者が出席する1日の調停期日での和解成立を目指しますし、複雑なケースでも数回の調停期日での解決を目指します。すなわち、京都国際調停センターでは、調停開始から準備期間を含めて2~3ヶ月での解決を目指しています。
私たちのセンターは始まったばかりで、まだこのような数値はありません。専門的訓練を受けた調停人が、厳格な守秘義務の下、評価型や対話促進型の手法を適切に使い分けて用いると、実に80%以上の案件で、たった1日か2日で合意に持ち込めると言われています。京都国際調停センターもこれと同等の成立率を目指します。
裁判所における民事調停や多くの民間の調停センターにおける調停においては、調停人は、裁判所もしくはセンターが選任をしますので、当事者の意向が反映されません。
しかし、京都国際調停センターは、世界的に著名な調停人、および日本国内の有名な調停人を集めた調停人パネルを備えており、当事者は、この調停人パネルの中から、もしくはこの調停人パネル以外からでも、事案の解決に最適な調停人を選択することができます。もちろん、京都国際調停センターが事案の解決に適した調停人を推薦することも可能ですし、当事者間で誰を調停人にするか合意できない場合には、京都国際調停センターが調停人を選任することも可能です。
国際的には、自律的な紛争解決を目指す調停において、当事者が調停人を選択することは当然とされています。京都国際調停センターでは、他の日本国内の調停と異なり、当事者が調停人を選任できるところに、大きな特色があると言えます。
京都国際調停センターの運営には国際弁護士が関わっており、手続きも英語で行うことが可能ですので、京都国際調停センターを用いることで、国際的な調停を日本国内で行うことが可能となっております。
日本における裁判所調停では、1回の期日は数時間で、次回期日は当事者や調停人の都合を勘案しておおよそ1月ごととなります。
しかし、国際的な調停手続きでは、調停人が電話やメールを用いて、事前に当事者と紛争の内容について意見交換を行い、調停期日は多くの場合、1日で和解に至ります。
このように、調停手続きの開始から数ヶ月、そして当事者が集まる調停期日は1日(長くても2日)で多くの場合に解決に至るという点で、京都国際調停センターの調停手続きには大きな特色があると言えます。
国際標準の調停プラクティスと日本における裁判所調停との大きな違いの1つです。
国際標準の調停では、守秘義務が厳格に守られ、調停における当事者等の言動、意見等を後の裁判や仲裁手続で利用が禁止されます。この点は、国際標準の調停が、実に高い成功率を誇る所以でもあると言われています。
仮に、調停における言動や意見等が、後の裁判や仲裁などの手続で利用されるのであれば、当事者はこのことを常に意識しなければならず、調停人に対しても本音を語りにくく、調停がうまくいかなかったときに備えて、主張や立証を総花的に行うことになってしまいます。一方、調停における言動や意見等が、後の裁判や仲裁などの手続で利用されないという安心感があれば、当事者は調停人に対し、本音を語り、譲歩できるギリギリのラインを示すこともでき、その結果、当事者間のコンフリクトをやわらげて和解が成立しやすくなり、調停の成功率が上がります。
また、調停は、調停人が両当事者の和解を取り持つもので、両当事者が合意できない場合には和解は成立しません。調停の手続を利用しても和解の成立を強制されることはなく、合意できない場合にはその時点で調停は終了するため、手続を利用しやすいというハードルの低さが、裁判や仲裁と大きく異なる調停の良さであると言われています。調停での言動や意見等を後の手続きで利用されないという安心感があれば、この調停の長所である調停利用のハードルも一層低くなり、調停に入りやすくなります。
京都センターで実施される調停も、このような国際標準の調停であり、守秘義務が厳格に守られ、調停における当事者等の言動、意見等を後の裁判や仲裁手続で利用することが禁止されます。
京都国際調停センターの手続は、申立費用の支払と、調停申立書の提出により開始します。調停申立書は、このウェブサイトから入手でき、電子的方法で提出できます。様々な費用の支払は、銀行口座への送金をお願いしております。
当事者は、他方当事者から京都国際調停センターへの書面同意無く、申立書を提出できます。京都国際調停センターが申立書の提出と申込費用の支払いを受けた後、京都国際調停センター事務局が、他方当事者に連絡し、京都国際調停センターにおける調停の利点を説明し、同意が得られるよう試みます。
調停は多くのメリットがあります。当事者は、紛争解決方法を自身で決めることができ、当事者間の良好な関係を保持する前向きな解決を目指します。長期化することはなく、手続は完全に秘密が保持されます。これらのメリットは他方当事者が調停開始に合意するよう説得する材料となります。
このFAQでご説明するとおり、調停は紛争解決に極めて効果的であるため、私たちは、他方当事者からの調停申立に応じるよう強く勧めます。調停手続は当事者の自主的な判断のもとで行われます。調停手続が始まっても、一方当事者が、成立可能性がない、または適切な扱いを受けていないと感じた場合には、理由無く調停手続きを終える自由を当事者は有しています。止めたくなればいつでも止めることが出来ます。そこで、回答としては応じる義務はないということになりますが、応じることを勧めます。
ただ、どうしても調停をしたくないというのであれば、拒否回答用紙を提出ください。
京都国際調停センターが、申立用紙の提出と申立費用の支払いを受けた後、事務局は、他方当事者に調停手続の説明をするため連絡します。その後、京都国際調停センターが両当事者から調停費用の支払いを受け、調停人が選任された後、事務局は、調停人も入れて今後の調停手続について検討します。京都国際調停センターは、調停に必要な設備を準備して、調停人が円滑に調停手続を進められるようサポートします。調停人は、通常、事前に書証や主張の提出を両当事者に求めて、電話で議論するなどして、京都での調停期日を迎えます。
調停期日では、両当事者には、和解について決定権限を有する人物が出席するよう求められます。調停期日の冒頭で、通常、調停人が、調停人の役割やこれからの調停手続について説明し、その後、当事者が自分の主張や紛争解決に関する希望を直接相手方に述べるジョイントセッションが開かれます。その後、調停人は、紛争解決方法を探るため、一方当事者のみと話すことが多くなります(プライベートセッション・コーカス)。当事者が調停成立に同意する場合、当事者または調停人が和解条項案を作成し、両当事者が署名して調停が成立します。和解合意書は、両当事者が署名するまで当事者に対し何らの拘束力もありません。調停期日は通常1日の期日で終了することが多いですが、時には夜中まで続くこともあります。
仮に調停期日内で調停成立に至らなかった場合でも、その後、調停人が関与を続けて紛争が解決に至るよう当事者をサポートすることもあります。
日本法では、裁判上の請求、差押え、仮差押え、仮処分、承認により、時効が更新されます。催告(裁判外の請求)は、裁判上の請求が6ヶ月以内になされれば、時効更新の効力を生じます。
京都国際調停センターへの調停申立書が他方当事者に送付された場合、請求権の準拠法が日本法であるなら、これは催告としての効力を持ちえますが、とりわけ時効完成が迫っている場合や、時効が影響しそうな場合には、必ず事前に弁護士に相談することをお勧めいたします。
調停人の選定は大変重要です。調停人の能力、専門性、経験を熟考して、適切な調停人を選任すべきでしょう。京都国際調停センターの調停人パネルに掲載されている調停人は、全員適正な能力を有しており、交渉や紛争解決の経験も豊かです。そこで、まずは調停人パネルから特定分野の専門性や使用言語を考慮して、調停人を探すのがよいでしょう。当事者が調停人の選任に合意できなかった場合、京都国際調停センターが、調停ルールに従って、当事者の合意に基づき調停人の推薦や指名をすることも可能です。
京都国際調停センターは、調停人パネルの資格や経歴を開示しておりますので、ホームページ上でそれらをご覧下さい。また、適切な資格や経歴を有する調停人の推薦を、京都国際調停センターに依頼することも可能です。また、京都国際調停センターを通じて、調停人に質問等をして頂くことも可能です。
当事者は、調停人の選定について話し合い合意しますが、まとまらない場合は、京都国際調停センターに協力を依頼することができます。当事者が調停人の選任に合意できない場合は、京都国際調停センターは調停ルールに従って調停人を選定しますが、当事者はその選任に対して、いつでも拒否することが可能です。
調停期日では、当事者及び調停人が、調停成立に向けて話し合いますので、当事者には和解をする権限のある者の参加が求められます。
日本の会社の場合、代表取締役であっても、一定の場合には調停成立のために取締役会の承認が法律上必要なことがあります。そのような場合、代表取締役など会社の代表権限を持つ参加者は、「取締役会承認を停止条件とする」という条項を付して合意することになるでしょう。
調停期日は多くの場合1日で終わるので、重大な争点に関する主張や客観的な証拠の存在の検討のみならず、事前に解決可能な最終地点がどこにあるのかを充分に検討することが望まれます。すなわち、紛争の解決として獲得したい、または守りたい「真の利益」は何なのか、合意形成のための金銭以外の合意を組み込む可能性はあるのか、などの検討が望まれます。訴訟や仲裁の結論は金銭賠償になることが多いですが、調停による解決では、金銭賠償のみならずあらゆる選択肢を検討して解決に組み込むことが可能となります。
調停のスタイルは調停人によって異なりますが、一般的には、調停人は、選任後に当事者の関係や紛争に関する情報を得るため、当事者に直接連絡を取ります。この初期の調査と当事者との関係性の構築後に、調停人は調停期日に当事者と会うことになります。
調停人や事情によって進め方は異なりますが、通常、調停人は全ての当事者が一堂に会するジョイントセッションを行います。調停人は調停に関するルール(調停は任意で、秘密が保持され、調停人は公平な立場から当事者をサポートすることなど)を説明します。その後、各当事者は、紛争や自身の立場を説明する機会が与えられます。調停人は、それをよく聞き、質問し、通常、理解したことを要約します。
その後、これも調停により異なりますが、商取引に関する事案では通常、調停人が各当事者と個別に話すプライベートセッション(コーカス)が始まります。調停人は、当事者に質問し、相手方へその内容を開示することなく、各当事者の問題点や解決方法を検討します。多くの場合、コーカスは、当事者が合意に達することができると調停人が考えるまで続けられます。最終的に当事者が暫定的な合意に至った場合、正式な和解に向けて話し合いをすることになります。
一方、調停人や当事者は、この手続中いつでも、もうこれ以上交渉しても有益でないと考える場合には、調停手続きを止めることができます。
両当事者が調停条項に署名した場合、法的拘束力のある合意となり、両当事者は調停条項を遵守する法的義務を負います。ほとんどのケースでは、当事者は、理解と満足を持って調停を成立させるため、調停内容を遵守することがほとんどです。ですから、裁判所による執行が必要になることは非常に少ないと考えます。
当事者は訴訟や仲裁に進むことが出来ます。ただ、仮に当事者が合意に達せず、裁判や仲裁の手続きに進む場合でも、両当事者は、京都国際調停センターにおける調停手続きを通じて、紛争の内容や争点を同じ視点から正しく理解していますので、仲裁や訴訟手続の中においても、和解に至る可能性は高くなるでしょう。